コラム

歯と全身の健康の関わりについて

日本では平均寿命が男女ともに80歳を超えていますが、近年では健康寿命が重視される傾向にあり、「何歳まで健康でいられるか?」という考え方が注目されています。

その中でも、「歯の健康」は健康寿命に大きく関わります。今回は健康な歯の重要性をはじめ、不健康な歯が及ぼす悪影響や対策などについても、分かりやすく解説していきます。

健康な歯でいるメリット

生きるためには食事が大切ですが、健康な歯でしっかり噛めるからこそ、食べ物からの栄養を身体が吸収できます。失った歯の本数がたった1本でも、本来の正常な働きができなくなり、食べ物をうまく噛めないために胃腸の負担が増えてしまいます。

また、見た目や発音にも悪影響を及ぼし、人前で笑うのが嫌になったり会話を避けたりなど、社会的な活動が困難になるケースも少なくありません。

虫歯や歯周病からご自身の歯を守ることが、食事や会話を楽しむきっかけになり、結果として健康寿命のアップにつながるのです。

不健康な歯が身体に及ぼす影響

歯とお口は食べ物を摂取する入口であり、生きることや健康を支える重要な器官の1つといえます。しかし、虫歯や歯周病、かみ合わせの不調などを放置した結果、以下のような悪影響により健康が妨げられてしまう恐れがあります。

食べ物が噛めないと栄養不足に

噛みにくい状態や歯を失ってしまった結果、食べ物を思うように噛めなくなります。

軟らかい食べ物ばかりを好む食生活では、肉や魚などに含まれる良質なタンパク質を摂取できません。栄養不足により筋力が低下し、身体も弱くなってしまいます。

また、噛む回数が減ると脳に刺激が伝わらず、認知症になるリスクも高まるといわれています。

歯周病は他の病気に影響を及ぼす

歯周病で指摘されているのが、全身のさまざまな病気との関連性です。口腔内で増殖した歯周病菌は、切れた毛細血管から血管内に侵入し、血流に乗って全身を巡ります。歯周病菌は血管内で毒素を放出し続け、炎症反応を引き起こします。その結果、動脈硬化の進行による脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病、早産・低体重児出産などのリスクが高まります。

かみ合わせによる顎関節症や肩こり

虫歯や歯周病、加齢などのさまざまな原因により、かみ合わせが悪い状態に陥る恐れがあります。かみ合わせが悪いままでは、小さなダメージが蓄積していきます。それにより、顎の動きに支障をきたす顎関節症を発症するリスクが高まります。また、筋肉への過剰な負担が身体全体の重心やバランスを崩し、慢性的な肩こりや首のこり、頭痛を引き起こす原因にもなるのです。

歯の健康を保つにはどうすればよいのか?

栄養バランスのよい食事

丈夫な歯をつくるにはさまざまな栄養素が欠かせません。

まず牛乳やチーズなどに含まれるカルシウムは、歯を強くする成分といわれております。また、ニンジンや海藻にはビタミンAが多く含まれており、歯のエナメル質を強化してくれます。ビタミンCは象牙質をつくり、ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートする効果も期待できます。

食事ではいろんな食品を取り入れ、栄養バランスを考えた食事メニューを心がけ、よく噛んで食べましょう。

正しい歯磨き

虫歯や歯周病の予防には、歯科医院でのプロフェッショナルケアも重要ですが、歯磨きを中心にご自宅で行うセルフケアが基本です。歯と歯の間、歯と歯ぐきの間、奥歯などは特に磨き残しが多い場所ですので、丁寧に磨きましょう。

また、歯磨きは自己流になりやすく、しっかり磨いているつもりでも汚れが残ってしまう可能性があります。ぜひ歯科医院でのブラッシング指導を通じて、正しい歯磨きの方法を身につけ、セルフケアで実践できるようになりましょう。

定期的な歯科検診

どれだけ丁寧に歯磨きをしてもわずかな汚れが残り、虫歯や歯周病の原因になります。歯とお口の健康を維持するには、歯科医院での定期検診が欠かせません。

定期検診では虫歯や歯周病のチェック以外に、歯科専用の治療器具で歯や歯周ポケットに付着する歯垢や歯石を徹底的に除去します。定期検診の頻度は患者様のお口の状態により異なりますが、最低でも年に1回以上は受診しましょう。かかりつけの歯科医院で受診を継続していただくと、歯や歯ぐきの変化に気づきやすくなり、より効果的な予防の実現が期待できます。

まとめ

歯と全身の健康は密接な関わりがあります。特に歯周病は歯を失う原因だけでなく、さまざまな全身疾患のリスクを高め、命を落とすケースも考えられます。

ぜひ毎日のセルフケアと歯科医院での定期検診を継続し、ご自身の歯を虫歯や歯周病から守りましょう。当院では一人ひとりに適した予防処置を提供し、歯とお口の健康をサポートしておりますので、ぜひご利用ください。

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